Gメン’75 203話また逢う日まで速水涼子刑事Gメン’75 203話

当サイトのメインキャラクターである速水刑事の降板編。

これをご覧になる殆どの方は既にシリーズの流れをご存知だと思いますが、

そうでない方は、プロットはこちらKAJITA巡査さんのページ)をご参照ください。

管理人のコメント

   2年間のGメンの一員としてのラストを飾る作品。・・・の筈なのに何故かカッコよろしくない場面ばかり目に付く、ファンとしては切なさを隠せない作品である。

 

  拳銃を盗まれることなど決してあってはならないのだが、Gメンではよくあったりする。その多くが人質にされてしまいやむを得ず、というケースが多い。(速水の場合142話及び172・3話)「ショッピング中に置き引き」なんて刑事として論外だが、ICPOでの研修経験があるほど国際感覚豊かな人が遭う行為とも思えない。この導入部で、従来の速水刑事のイメージからかけ離れた感を憶える。

 

  今回のキーパーソンは勿論少女・白石マリ。163話で母親に遺棄され義父が殺害されたところを速水に保護されたのであるが、その際に引き取って育ててくれた祖父まで今回喪ってしまう。幼い頃に母親と死別、父親の愛も受けずに育った速水(106話参照)だけに、マリの境遇には誰よりも共感できる。それに自責の念も加わったことで、犯人を挙げることは当然として、突然身寄りのなくなったマリの傍についていたいという思いを抱いても不自然ではないだろう。

 

  だが責任を持って子どもの傍についてやる、ということは、目星のついていない犯人を挙げること同様、容易なことではない。目撃者のマリに犯人像の証言を取るという刑事の任務を果たしながら、マリの傍にいてやろうと試みるも、両立できずにどちらも中途半端になってしまい、速水は立花警部補から厳しい叱責を受けることとなる。かつて一歳児(くらい)の息子がいた立花(105話)だけに、子どもに対して責任を持つ大変さはどのGメンよりも実感している。単身でそれだけの責を負うには速水はまだ若すぎて(盗まれた手帳には昭和31年5月7日生まれとされており、設定上22歳)相応しくない。それよりも刑事としての責務を果たす方が先決であるし、マリへの責任の一端をそのような形でも担うことができる。そのように立花は考えたのだが、速水がそれを納得するまでに紆余曲折があった。このあたりの場面がファンにとって、それまでのカッコいい速水刑事のイメージが崩れていくところで、切ない限りである。

 

  犯人を追い詰めるも腕に被弾。止めの一発が麻薬捜査犬アルファ号を殉職させるに至ったあたりからの格闘は見ものである。まるで速水自身にアルファ号が乗り移ったかのような”猛犬”の如き執念を発揮する。129話で警察犬と心を通い合わせての捜査を成功させて以来、犬と速水は良きパートナーとなり得た。当初の企画では速水刑事は殉職の予定だったそうだが、アルファ号はその身代わりとなったのだろうか?